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相模原市市議会議員 緑区
のもとよしみ

ブログ

  • 相模原市議会報告
平成31年3月議会 予算に対する討論

去る3月15日は、3月議会の最終日に、颯爽の会を代表して、予算に反対する討論を行いました。

来年度予算は、選挙があることから「骨格予算」としたという説明ですが、予算の中身は、3億円を「肉付け予算」(選挙後に新しい市長によって編成される6月補正予算)に取っておいただけで、他はいつも通り。3024憶円という予算規模からすると肉付けとは言い難く、せいぜい「色付け予算」程度。

骨格予算(のつもり)なので、市長施政方針も示されていません。

市長を継続するおつもりなら、形ばかりの「骨格予算」としないで、正々堂々と市長施政方針を示した上で、予算を提案し、それを議会に諮るべきではないでしょうか?

あるいは、例に示した三鷹市のように(反対討論を参照してください)、誰が選挙で選ばれても、その市長の采配で予算が組めるよう、骨格予算は限定的にして、肉付け予算用の財源は、十分に確保すべきです。

お金の使い道は、市民にわかりやすく、誠実に説明する責任が、市長にはあると思います。

以下、会派を代表して行った討論の全文です。

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議案第2号平成31年度相模原市一般会計予算ならびに議案第8号平成31年度麻溝・新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計予算に対する反対討論
颯爽の会 野元好美

颯爽の会の野元好美です。
わが会派は、人への投資を重視し、殊に次代を担う子どもたちが心豊かに育つ環境づくりを大切にしてきました。また、次世代にツケを回さない市政運営を求めてきました。まちづくりについては、市長に対し、厳しい財政状況や人口減少、少子化や急激な高齢者の増加をふまえた上で、これからの時代にふさわしい持続可能な都市とは何かを見極め、事業の取捨選択をするよう英断を求めてきました。そのためには、市民の理解が不可欠であり、それぞれの事業の委託調査の結果等の公開と市民に開かれた議論を求めてきました。平成31年度当初予算では、個別の事業については、積極的に評価できるもの、賛成できるものが多く含まれていますが、予算の編成において重要な点が賛成しかねるため、会派を代表し、議案第2号 相模原市一般会計予算ならびに議案第8号 平成31年度相模原市麻溝台・新磯野第一整備地区土地区画整理事業特別会計予算に反対の立場で討論いたします。

平成31年度相模原市一般会計予算に対する反対討論
◆反対する3つの理由
1)「骨格予算」と言いながら、通常の予算とほとんど変わらず、市民にはわかりにくく、不誠実とも見える予算であること
2)トップマネジメント会議を行わず、大規模事業の取捨選択はなく、予算編成過程の公表も進まなかったこと
3)財政健全化の取り組みに疑義があること

一般会計予算に反対する主な理由は3つです。
第1に、市民にわかりにくい不誠実とも見える予算であるということです。
市長は、骨格予算として編成したとおっしゃいます。しかしながら、繰越金の3億円を留保しただけであり、実態は通常予算とほとんど変わらない予算となっています。予算編成方針には、「当初予算は、経常的な経費、継続的な事業に係る経費などを中心に計上する骨格予算として編成する。ただし、社会経済情勢の急激な変化、国による経済対策などへの対応、市民生活に直接関わる喫緊の課題に対応するために必要となる経費などについては、当初予算に計上する」とあります。この方針を読めば、政策的経費の多くは、選挙で選ばれた新しい市長によって提案されると多くの市民は思われるのではないでしょうか。しかし、総務委員会の議論で明らかになったのは、骨格予算とするために、各局に事業を精査する具体的な指示が出されたわけではなく、また、財務課による事業の精査も行われなかったということでした。さらには、肉付け予算のために留保する財源を3億円としたのは、過去と同程度にしたという根拠と呼ぶには希薄とも言える理由でした。

比較のため、一例を挙げます。三鷹市では、平成27年度予算が骨格予算として提案されています。清原市長が3期で立候補しないことを決めたことによるもので、政策的経費や投資的経費の計上を極力避け、当初予算に計上する事業を明確に示した上で精査し、選挙後の肉付け予算としては、財政調整基金や特定の目的基金の取り崩しを見合わせました。その結果、669億円の当初予算に対し、15億円の財源が留保されました。この15億円を基に選挙後に編成された肉付け予算の規模は、約40億円です。本市の31年度当初予算案の規模は、三鷹市の4.5倍、3024億円ですが、留保された財源は、わずか3億円。三鷹市の5分の1しかありません。ちなみに、本市でも27年度予算は加山市長のもとで骨格予算として編成されましたが、留保財源は3億円、6月補正の肉付け予算規模は、約4億円であり、三鷹市の10分の1となっています。

何を骨格予算と呼ぶのか、その定義が自治法などで明確に定められているわけではありません。したがって、自治体や首長の考えによって違いがあり、何が正しく、何が間違っていると言えるものではありません。しかし、財務課が発行した「平成31年度当初予算案の概要」には、「4月に統一地方選が実施されることから骨格予算として経常的な経費や継続的な経費を中心に編成」と記載されています。本予算の中身はその内容に一致していると言えるでしょうか。この予算には、新規事業や拡充される事業が散見され、八方美人的な、選挙対策予算とも見える内容になっています。また、来年度ではなく、再来年度2020年4月に実施する予定の「政令指定都市移行10周年記念事業」の事業費180万円を債務負担行為を設定してまで、計上しています。緊急性のないこの事業の予算を計上した理由を尋ねたところ、「確実に実施が見込まれるものだから」という答弁でした。3億円は、本市の財政規模からすれば、「肉付け予算」と呼べる額ではなく、せいぜい「色づけ予算」程度のものであり、通常予算とほぼ変わらない予算を市長施政方針もないまま、認めるわけにはいきません。

2つ目の理由は、今回の予算編成にあたっては、トップマネジメント会議が開かれておらず、数々の大規模事業は取捨選択されないままで、予算編成の過程の公表についても前進が見られなかったことです。
どんなビジョンを掲げ、何を重視して市政を運営していくのか。それは、企業等へのトップセールスやシティセールスにも波及する重要な点です。予算編成は、市の針路を明確に示して具現化するものであり、それを議論するはずのトップマネジメント会議は、極めて大切なはずです。それが開かれなかったのはなぜか。委員会でも理由は明らかになりませんでした。
また、颯爽の会では、数々の大規模事業は取捨選択と予算の編成過程の公表、市民意見の反映する仕組みを求めてきました。JR横浜線立体交差化事業、国際コンベンションホール、美術館2館、市役所の移転など事業を推進していくのであれば、各事業について委託調査した結果と都市建設局内の作成した中長期財政推計を市民に公表し、財政の見通しと合わせて実現可能性、事業効果について、開かれた場で議論し、庁内横断的に検討すべきです。予算の審議にあたっては、「当初予算案の概要別冊 各局・各区の予算見積額と予算案の額の状況」が昨年度から提出されるようになったこと、事務事業や補助金、市単扶助費等の見直しが一覧で示されるようになったことは評価しています。しかしながら、高齢者の急増などにより、扶助費の伸びが見込まれる中、負担の分配や市民サービスの優先順位づけ、自助、共助への移行、公民連携や市民協働の範囲の拡大などの対応を余儀なくされます。市民の理解と行政への信頼は不可欠です。昨年の討論でも、「自分に身近な事業の予算は、市民にも関心事であり、不満や不信を生じさせないためにも、痛み分けや譲り合い、新たな財源の使い道に対する合意形成や民間事業者や市民団体が公的サービスの担い手としての参画を図っていくためにも、市の財政状況や意思決定の過程をオープンにしていくべき」と求めました。ぜひ前向きに検討していただき、市民意見の反映と編成過程の透明化が図られるよう、期待します。

3つ目の理由は、財政健全化の取り組みに疑義があることです。
「第2次さがみはら都市経営指針・実行計画」には、「平成29年度から31年度までの間における臨時財政対策債を除く一般会計の市債の発行額を300憶円以内」としています。昨日の補正予算への質疑で、計画期間内における市債発行額は、現時点で327億円であり、目標の300億円以内を超えることが明らかになりましたが、市債発行の総額を抑制するための対応については、明確な答弁がありませんでした。学校施設の改修や道路等の長寿命化については、特定財源やより有利な市債を活用し、積極的に進めていくことに異論はありません。しかし、自ら定めた財政規律を破り、生産年齢人口が減少していく次世代へツケを回すべきではありません。国は臨時財政対策債だけでなく、地方債のメニューを増やしています。今後も国の動向や自然災害などへの対応が求められると想定される中、国のメニューに踊らされることなく、市で中長期的な財政規律を定めるなど工夫して、市債発行の総額を抑制し、本市が誇ってきた健全財政を堅持することで、国に対し、臨時財政対策債の速やかな廃止と借金体質の改善を強く促していくべきです。速やかな検討を求めます。

現在の相模原市は、来るべき高齢者の急増や公共施設の大規模改修など今後の財政需要に備え、市債を減らし、財源を蓄える時期であるべきです。さがみ縦貫道路の整備もひと段落し、国直轄負担金はピークであった平成24年度の102億円から31年度では5億円と大幅に減少していますし、市が検討している大規模事業も検討や準備段階であるからです。しかしながら、平成20年度末と平成31年度末を比較すると、この12年間で財政調整基金は、143億円から56億円と87億円のマイナス。市債残高は1867億円から2743億円となり、876億円も増えています。財政調整基金の減少と合わせると実に963億円ものマイナスです。確かにリーマンショックや東日本大震災、台風や集中豪雨などによる災害への対応を余儀なくされた点もあります。また、政令指定都市への移行で、財政構造が大きく変わり、不交付団体になる可能性がなくなったことから、臨時財政対策債を積極的に発行するようになりました。この財政構造の変化に真摯に向き合い、国の責任だと責任回避するだけでなく、神奈川県が臨時財政対策債を含めた市債残高を減らし、健全化に取り組んでいるように、生産年齢人口の減少に照らして、後世の負担を軽減する努力をしていくべきではないでしょうか。

加えて、28年度決算においては、経常収支比率が102.5と100%を超える見込みとなった時、庁内に衝撃が走り、29年度予算は、極めて厳しい事務事業の精査や財務課による査定を行いましたが、29年度から地方交付税が合併算定替えから一本算定へと変わった途端に、意識が緩み、切迫感が薄れてしまっていると感じます。先程指摘したように、今は比較的財政需要が抑えられている時期です。余裕があるからと安易に事業を拡充することは厳に慎み、中長期的な視点をもって、財政の健全化と財源の確保に努めるよう、求めておきます。

◆3つの具体的な施策について
1)公共施設マネジメントについて
2)総合計画について
3)公民館の活用と市民協働の取り組みの強化について

次に、具体的な施策を3点にしぼって述べます。
1つ目は、公共施設マネジメントについてです。
市民の要望は、実に多様です。高度経済成長時代には、順番を待てば、要望がかなったことも多かったかもしれません。しかし、現在は、必要な土木インフラやハコモノを維持することさえも、困難な時代に差し掛かっています。会派で何度も指摘してきたように、公共施設のマネジメントは、大変重要な取り組みです。城山地区では公共施設の再編が進められていますが、他地区では具体的な取り組みは始まっていません。来年度は、167万円の予算で、区ごとに無作為抽出で選んだ市民や公募市民によるワークショップを開催するとのことですが、それが今後の公共施設のマネジメントにどう活かされていくのかは疑問です。地域によって公共施設の配置状況や老朽化の度合い、課題が違います。市民の理解と合意を得ていくには、長い時間を要します。26年度に庁内で設置するはずであった専管組織を速やかに設置し、日常生活圏域と区ごとに地域課題の解決を図りながら、具体的な公共施設マネジメントの取り組みを進めるべきです。
また、以前も引用しましたが、26年2月に開催された第6回相模原市公共施設マネジメント検討委員会において、委員長から「『今後のまちづくりの戦略上重要な施設の整備を除く』という例外規定は、マネジメントの方針とかかわりなく作りたいものは作れるとも読める玉虫色の表現であり、報告書の趣旨と異なり、今後大きな影響を及ぼすと思う。「重要」の定義を客観的なルールに基づき定めなければ、次々に建設して財源がなくなり、結果的に真に重要なものすら整備できなくなってしまう、どのような施設を指すのか明確にしておくべき。土木インフラとハコモノを合わせた時の整合性が問われる。横断的な管理について考えることが必要。」との指摘がありました。委員長の指摘を真摯に受け止め、明確なルールを定めるよう、重ねて要請します。また、当時予定していた事前協議制度について速やかな検討を求めます。

2つ目は、総合計画についてです。
人口が減少し、高齢者の急増や生産年齢人口の減少、少子化という世帯の変化や人口構造の変化により、社会経済情勢も市民生活も大きな変化を余儀なくされます。また、世帯構成の変化や格差社会の広がりという課題にも向き合っていかなければなりません。市民のセーフティネットをどう構築していくのかは喫緊かつ重要なテーマです。行政で対応するには人も財源も限界があります。現状を理解し、関心をもって課題の解決のために知恵を出し合い、協力し合う市民を増やしていかなければなりません。総合計画づくりは、そのための機会として活かしていくべきです。計画づくりの過程で日常生活圏域を核とし、重層的なネットワークづくりを心がけ、計画策定後も地域で協働できるような取り組みを求めます。

3つ目は、公民館の活用と市民協働の取り組みの強化です。
日常生活圏域ごとにある本市の公民館を有効に活用すべきです。有料化により、利用団体が減っています。利用者の偏りが見られるという課題もあります。健康維持や介護予防、地域コミュニティの醸成、地域福祉の拠点、地域課題の解決の場など、ひとりひとりの人権が守られ、最期までその人らしく生きることを支えるためにも、公民館は無料にしてすべての人に開かれた場所にし、職員の処遇も職務限定型の人事制度を検討するなど見直していくべきです。市民協働の取り組みも一朝一夕に効果が表れるものではありません。良好な実践の積み重ねが求められます。

これからの時代は、人材の育成と行政と市民との信頼関係が鍵を握ります。どのような境遇に生まれても、子どもの権利を保障し、社会で育む環境をととのえ、子育てや介護、障がいなどで課題を抱えた市民や家族を丸ごと支援する体制づくりやそこに関わる人材の育成に力を入れること、また、職員のみなさんにおかれましては、市民目線で市民の役に立つ市役所とは何かを考え、課題を見つけ、考え、行動する、そんな働き方をしていただきたいとお願いし、平成31年度一般会計予算への反対討論とします。

□平成31年度相模原市麻溝台・新磯野第1整備地区土地区画整理事業特別会計予算についての反対討論

次に、議案第8号平成31年度相模原市麻溝台・新磯野第1整備地区土地区画整理事業特別会計当初予算についての反対討論です。
長友議員の代表質問と建設委員会での審議、長谷川議員の一般質問で明らかになったことは、地中障害物が当初の想定よりも多く発出し、予定していた2019年度下半期の土地の引き渡しは困難な状況であり、複合型物流センターの進出が決まっている43街区では約5万2000㎥、第一整備地区全体では約26万㎥の地中障害物が埋まっていると推計されるということです。原則的には権利者がその処分費用を負担することになっていますが、賄いきれない場合の対応についてはお答えがありませんでした。正確な量の把握はできていなかったとはいえ、大量の産業廃棄物が埋められていることは市も承知しており、また、市が昭和46年から56年にかけてし尿等の埋め立てを行っていたことは、周知のことです。この事業を始めるにあたり、わが会派は、かなりのリスクを市が負うことになるとことを懸念し、指摘していたわけですが、改めてその懸念が目に見える形で現実のものとなりました。また、東日本大震災の復興事業で国がつくった民間事業者包括委託方式を本市で導入することについても、事業費の精査やこの方式のメリットについて、数々の疑義を提示し、メリットの過大評価やデメリットの過小評価を指摘し、計画の見直しを訴えましたが、市は受け入れることなく、推し進めてきました。少なくとも工期縮小によるメリットは、地中障害物の大量発出で大きく損なわれたはずです。

土の入れ替えがあり、地中埋設物を埋めたことがわかっていながら、極めてリスクが高い事業を始めてしまったこの事業を始めてしまった市の責任とそれを追認した議会の責任は重いと言わざるを得ません。開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったという声も聞こえてきます。今後、多額の税金をつぎ込むことになるかもしれないこの事業については、一度立ち止まって、検証するよう強く要請しておきます。

関連して、後続とされる隣接地域では、操業中の産廃の焼却処理事業所やペット霊園事業所がありますが、投入する産廃ごみが時に山積みされたり、排ガス・排煙から発生する悪臭や煙などに対し、周辺に住む市民から苦情を聞きます。しかし、事業者のごみの置き方などへの対応は資源循環推進部で、臭気や煙などへの対応は環境共生部と分かれていて、人員の都合などで迅速に現場を確認できないことも多く、市民の不信を招く事態も起きています。当該地域の荒廃を防ぐためにも、両部で情報を共有し、市民の住環境を守るという立場で、パトロールや一定の期間の監視指導などについて協働し、臨機応変に取り組まれるよう求めます。

以上、反対討論とします。

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